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数理サイエンス学科主任メッセージ

数理サイエンス学科の特徴理工学部 数理サイエンス学科主任予定 谷口 健二

「数理サイエンス学科」には2つの特徴があります。1つは幅広さ。代数、幾何、解析に加えて、金融工学、生物数学、ファイナンス数学もカバーしています。生物数学とは、例えば最近話題になっている「感染症の拡大モデル」です。感染症について数理的にモデルを立て、今後どういう条件だと増えていくのか、あるいは収まっていくのか、ということを数理的に研究する分野です。金融工学は、例えば何かに投資する際、将来的にその投資にどれだけリスクがあるかを、確率論をベースに研究していく分野です。「数理サイエンス学科」には、純粋数学の研究者も、生物数学や金融工学の専門家もいます。授業のカリキュラムに関しても、伝統的な数学をベースにしながらも、応用系の科目も幅広く配置しています。

もう1つの特徴は、演習科目を数多く配置している点です。大学の講義について、より理解を深めるために、演習の授業で問題を解くことが大切です。数学の問題は、ただ公式に当てはめればいいわけではなく、自分で考えなくてはならないため、自分で試行錯誤し、問題を解決する能力が身に付きます。そのため、演習の授業では、ただ「分かりません」と質問するのではなく、何がどう分からないのかを説明する必要があります。そのうえで私たちがヒントを与えたり、アドバイスしたりします。そのやり取りのなかで数学を理解していくことを目指しています。

「数理サイエンス学科」では、普段から教員と学生がやり取りや議論をします。そのため教員と学生の距離がすごく近いというところも本学科の特徴の1つです。

数理サイエンス学科が育成したい人物像

1つ目は「論理的な思考能力」がある人物です。これについては、数学という非常に論理的な学問を学ぶことで自然と身につくと考えています。2つ目は「問題解決能力のある人物」。社会の問題も、数学の問題も、一筋縄ではいかないのが普通です。それを、思考実験を繰り返しながら、解決の糸口を見つけていくなかで、自然に身に付いていくものだと考えています。3つ目の能力は「コミュニケーション能力」です。数学を理解していくなかでは、人とのやり取りが大切です。「自分はこう考えたけれどもここが分からない」などときちんと説明し、それを受けた人は「こうすればいいのでは」と説明する。このようにきちんとした言葉のやり取りでお互いの理解を深めていく能力も、演習や実習、そして教員との触れ合いのなかで身に付いていくでしょう。

数理サイエンス学科 卒業後の進路

大学院進学、あるいは就職に大きく分かれます。大学院に進学し、さらに数理科学を深く勉強し、スキルをアップしてから社会に出る、あるいは研究者を目指します。就職に関しては、数理系の学科ですから教職に就く人が多数います。「数理サイエンス学科」では中学校と高等学校の数学の教員免許を取得できます。また数学は論理的にできているので、コンピュータ、あるいはコンピュータプログラミングと相性がよい学問です。その特性を活かして、IT企業のシステムエンジニアになる卒業生も多いです。また、最近増えてきているのが金融系の企業に就職する学生です。例えば保険会社。保険というのは事故が起こったときにお金が支払われますが、その際、どのくらいの確率で事故が起きるのか、あるいはいくら集めていくら払うのか、こういうことをきちんと数学的に計算する必要があるのです。その専門職としてアクチュアリー、日本語で保険数理士といいますが、その専門家を目指して金融機関に就職する学生も近年増えています。もちろんそれ以外の一般企業に就職、あるいは公務員になる学生もいます。

高校生の皆さんへのメッセージ

数学は昔からある学問ですが、先ほど申し上げた生物数学や金融工学のように、今でもどんどん応用範囲が広がって、社会にとって非常に重要な学問になっています。本学では基礎から応用まで幅広く学べますので、ぜひ「数理サイエンス学科」にみなさん来てください。2021年に発足する新しい学科です。みなさんと一緒に新しい歴史を築いていきたいと考えています。