錯体化学研究室
指導教員 | 長谷川美貴 教授 |
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テーマ | 1.光がある方向性をもって進む薄膜の開発 2.光が円を描きながら進む分子の開発 |
研究内容
私たちの生活は多くの色や光にあふれています。私たちの研究室では錯体化学を駆使し、その光機能の開拓や、あるいは錯体の光化学現象から自然界の神秘を解き明かすことを目的に研究を行っています。錯体は、例えば、私たちの体内で酸素を運搬しているヘモグロビンという鉄イオンを含むたんぱく質でも重要なはたらきをしています。肺で酸素を受け取り、体内に運搬し、必要なところで酸素を解き放つ。このような機能は、錯体が金属イオンと有機物とがふわっとした電子の雲でつながっている化合物であるために発現できます。また、錯体は、金属そのもとも有機物とも異なる性質を持ち、その多様性が新たな機能発現や分子レベルでのエネルギー変換素子としても期待されています。さらに、錯体分子の集合体は、多様な空間を織り成し、溶媒分子や気体分子だけでなく発光 性有機分子など種々のターゲットに対して特異的な反応を示すこともある。錯体分子は、種々の色を呈することでも大変魅力ある化学物質が多く開発されてきています。
私たちは、「分子レベルでの未来型機能性材料開発のための科学」を研究の主題に掲げ日々研究に取り組んでいます。その一例をご紹介しましょう。
光がある方向性をもって進む薄膜の開発
水の表面に分子を並べ1億分の1cmの厚みのしなやかな膜を作成しました。この膜は水晶の板で救い上げるとミルフィーユのように積み重なり、ブラックライトを当てると深紅に発光します。また、この発光が全体に広がるのではなく、方向性をもってまっすぐに進むことを発見しました。この成果は、2019年に英国王立化学会が発行するNew Journal of Chemistry誌から論文を発表し、プレスリリースを行いました。
光が円を描きながら進む分子の開発
分子に右手や左手のような重ならない対称性を持たせ、その中に含まれる希土類からの発光が円を描きながら発生する(円偏光発光性)化合物を発見しました。これまでに報告されている例と比較し、円偏光発光性が高いこともわかりました。2020年にWileyが発行するChemPlusChem誌から論文を発表しています。
研究者情報
教授:長谷川美貴 | |
学位 | 博士(理学) |
所属学会 | 日本化学会、錯体化学会、光化学協会、複合系の光機能研究会、希土類学会、American Chemical Society |
研究分野 | 錯体の光化学 |