新興国の台頭や市場のグローバル化とコスト削減を目的とした工場の海外移転や工程の委託化によって、日本国内の製造企業のものづくり力はかろうじてIEを大切にしている大企業を中心に保持していますが、以前ほど改善で活気ある現場をあまり見かけない気がします。今こそ、IEを主体とする改善力によってものづくり力を強化した理想的な改善現場の実現が望まれています。また、人口増加に伴う食料問題などの農業分野における品質と生産性に関する諸問題に対して、工業分野で培った改善技術と情報技術を融合して適用することで、日本や世界の農業の食料問題に貢献できると考えています。

近年の経済活動や生産活動のグローバル化が進んでいる状況において、各学問分野で開発された個別の技術や手法などの研究成果を統合的に整理して、経営工学の観点から総合的に判断して意思決定ができる人財育成のための教育が必要であると考えています。

近年の先進国による大量生産･消費が発展途上国にも伝播し、経済優先となり、地球環境への配慮を怠った結果、人類の将来に、危機的状況を招くことが予想されます。いかに経済と環境を両立させるのかということについては、多くの専門家が研究していますが、これを経営工学の立場から捉え、統合的な提案を行うことが必要であると考えています。

こうした時代の流れに対応できるように、当研究室では、企業のもの造りを基本にして、実際の企業における改善活動、実践的経営工学教育、環境教育に関して研究しています。

参考文献