熱流体制御研究室
指導教員 | 麓 耕二 教授 石井慶子 助教 |
---|---|
テーマ | 1.自励振動型ヒートパイプを用いた小型熱輸送デバイスに関する研究 2.感温磁性流体を用いたパッシブ型マイクロ熱輸送デバイスの開発 3.急速熱吸収材の開発 4.伝熱促進とその制御に関する研究 5.血流の指向性を考慮した生体の選択的局所温冷熱制御に関する研究 6.可視化によるスカラー場計測 |
研究内容
本研究室は、機械工学分野の中で熱流体工学および生体熱工学を主たる研究領域として各種課題に取組んでいます。特に熱流体工学に関連する研究課題を通して、未踏分野の新たな課題解決型研究にチャレンジします。本研究室の研究に対するモチベーションを簡単な言葉で表すと、以下の3点に集約されます。
- 誰かを何かを冷やしたい・温めたい!
- 熱を移動させたい、そして熱を賢く使いたい!!
- 目に見えない熱と流れを見たい!!!
自励振動型ヒートパイプを用いた小型熱輸送デバイスに関する研究
近年、電子機器の小型化・高集積化に伴い、発熱密度の増加が大きな問題となっています。例えば、皆さんがお持ちの携帯電話やノート型PCも高密度発熱体の一つと言えます。本研究では、発熱体から効果的に熱を移動させて排熱・冷却するデバイスとして自励振動型ヒートパイプ (Pulsating Heat Pipe)に着目しています。特にPHPに内封する作動流体として、特異な表面張力挙動を有するSelf-rewetting溶液 (自己浸潤液)を用いることで、さらなる性能向上を目指して研究を続けています。
研究キーワード:マイクロPHP、宇宙用PHP、Self-rewetting溶液の物性把握、表面張力対流
感温磁性流体を用いたパッシブ型マイクロ熱輸送デバイスの開発
本研究は特殊な磁性流体を用いたパッシブ型マイクロ熱輸送デバイスの開発に取組んでいます。特に作動流体として、磁化の温度依存性が著しい感温磁性流体を利用した全く新しい小型熱輸送デバイスを開発しています。このデバイスは、使用温度帯がヒートパイプに比べて低く、室温域においてもパッシブ熱輸送できる(ポンプなしで自励的に作動する)点が大きな特徴です。
研究キーワード:常温パッシブ熱輸送デバイス、感温磁性流体の物性把握、高効率熱輸送
急速熱吸収材の開発
車載用バッテリーや電子デバイスの急速発熱をによる熱壊防止を目的として熱吸収材(熱バッファー材)を開発しています。
研究キーワード:低融点合金、発泡金属、高熱伝導率
伝熱促進とその制御に関する研究
生物および生態系の優れた機能を模擬することで得られる新技術(バイオミメティックス)に着目した熱流体制御および伝熱促進の研究に取組んでいます。一方、低融点金属を含んだ相変化ナノカプセルによる伝熱促進技術の開発に取組んでいます。
研究キーワード:革新的伝熱促進技術、バイオミメティックス、ずり流動熱伝達、機能性衣服、相変化ナノ物質の物性把握
低融点金属をナノカプセルかした新奇温調材料の開発
血流の指向性を考慮した生体の選択的局所温冷熱制御に関する研究
人体の解剖学的見地に基づき、血流の指向性を考慮した生体の選択的局所温冷熱制御技術の構築に取組んでいます。具体的には、現在、医学部と連携している「脳低温療法のための咽頭冷却に関する研究」では、脳血管疾患者の脳低温療法に用いる医療機器 (咽頭冷却用カフ)を開発しています。
研究キーワード:生体の局所温冷熱、生体伝熱ファントム、血流指向性、生体適合性を有する温冷熱剤の開発
咽頭冷却用カフ
可視化によるスカラー場計測
任意断面の温度場を高精度で計測する技術はあまり存在せず、近年計測法が発達してきた分野です。本研究室では、 LED・レーザー光源・カメラ・蛍光体を使い、非接触二次元スカラー場・速度場の計測技術を用いた現象解明を行っています。ブラックボックスであったエネルギー機器内部の熱流動場理解と、物理学的に興味深い熱流動現象の解明を目標にしています。
研究キーワード:TSP、可視化PHP、PIV、LIF
研究者情報
教授:麓 耕二 | |
学位 | 博士(工学) |
所属学会 | 日本機械学会、日本伝熱学会、日本熱物性学会、日本冷凍空調学会、日本脳低温療法・体温管理学会、日本潜熱工学研究会、日本鉄鋼協会 |
研究分野 | 熱流体工学、伝熱工学、エネルギー変換工学、生体熱工学 |
助教:畑本明彩未 | |
学位 | 博士(工学) |
所属学会 | 日本機械学会,日本伝熱学会,日本航空宇宙学会 |
研究分野 | 電気流体力学,伝熱工学,流体工学 |