青山学院大学 理工学部

DEPARTMENT研究室紹介

熱工学研究室

指導教員 熊野寛之 教授
森本崇志 助手
テーマ 1.潜熱蓄熱システムの基礎研究
2.クラスレートハイドレートの基礎特性の解明
3.複雑な伝熱現象における、熱・物質移動過程の解明
4.糖アルコールを用いた中低温域廃熱の回収

研究内容

私達は、生活に必要なエネルギーを、化石燃料や水力・太陽光等自然から得られるエネルギーといった一次エネルギーから生み出しています。しかしながら日本では、年間約100 PJものエネルギーが廃熱として捨てられています。この廃棄されているエネルギーを有効に利用するために、熱を貯め、効率的に輸送する技術(蓄熱・熱輸送技術)の発展が求められています。

我々の本研究室では、熱エネルギーの貯蔵と輸送の観点から、熱エネルギーを蓄える材料(蓄熱材)の特性を把握するとともに、この蓄熱材に流動性などの機能性を持たせ、その流動や伝熱に関する諸現象に関して、熱力学・伝熱工学等を基礎として、実験的、解析的に研究をおこなっています。

潜熱蓄熱システムの基礎研究

蓄熱技術の一つに、潜熱蓄熱と呼ばれるものがあり、車やオフィスビルの空調等に利用されています。潜熱蓄熱では主に、物質の固液相変化に伴う潜熱が利用されます。固液相変化に伴う多量の潜熱を有する代表的な物質として、氷、パラフィン(油)等があります。我々の研究室ではこれらの物質を液中に分散させた、アイススラリー、エマルション型蓄熱材と呼ばれる機能性流体の伝熱特性および流動特性に関する研究を行い、高効率なシステムの設計指針を得ることを目的としています。また、食品分野での高効率な冷却および加熱へのアイススラリーの応用にも取り組んでいます。

クラスレートハイドレートの基礎特性の解明

ガスハイドレートとは、水分子が水素結合により作る立体籠状構造の中にメタンや二酸化炭素などの他の分子が取り込まれてできる、包摂化合物のことを言います。日本の近海にメタンハイドレートとよばれる燃料が豊富に埋蔵されていることは一般にも広く知られています。ハイドレートは、海底下の地層から採掘して燃料に利用するだけでなく、ガスを輸送する際の低コストで安全な体積圧縮方法としての用途にも有用です。更に、ハイドレートによっては多量の潜熱を有するものもあります。ハイドレートをスラリー化することによって流動性を持たせることにより、蓄熱・熱輸送媒体としての利用、天然ガスの貯蔵・輸送システムの効率化が期待されます。またTBAB水和物と呼ばれる準包摂水和物の核生成特性についての研究にも取り組んでおり、TBAB水和物のみならず、他の物質の核生成に寄与する因子を明らかにすることを目指しています。

複雑な伝熱現象における、熱・物質移動過程の解明

アイススラリーやエマルションといった固液混相流の伝熱現象は、空調、食品など様々な分野で生じる現象であるにもかかわらず、その基礎的な特性は十分に把握されていません。しかしながら、実験による検討には限界があるため、数値解析によるシミュレーションを行い、詳細な伝熱メカニズムの解明を目指します。

糖アルコールを用いた中低温域廃熱の回収

100 PJの廃熱の内、55 PJが100 –149 ℃の温度域の熱となっています。この温度域の熱量を効率良く回収することが可能な蓄熱材として、エリスリトールやマンニトールといった糖アルコールが注目されています。我々の研究室ではこれらの物質をスラリー化した糖アルコールスラリーを対象とし、蓄熱特性を解明すると共に、各温度域に応じた最適な糖アルコールスラリーの提案に取り組んでいます。

参考文献

研究室オリジナルサイト

研究者情報

教授:熊野寛之
学位 博士(工学)
所属学会 日本機械学会、日本伝熱学会、日本冷凍空調学会、日本熱物性学会
研究分野 熱工学、伝熱工学
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助手:森本崇志
学位 修士(工学)
所属学会 日本機械学会、日本伝熱学会、日本冷凍空調学会
研究分野 熱工学、伝熱工学
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