青山学院大学 理工学部

ニュース 化学・生命科学科 2024年度

2024/06/22

生体分析化学研究室(田邉一仁教授)の西原達哉助教と本橋優人さんの論文が英国王立化学会速報誌Chemical Communicationsに掲載

理工学部化学・生命科学科 生体分析化学研究室(田邉一仁教授)の西原達哉助教と本橋優人さん(博士後期課程学生:研究当時)は、複数の生体分子の情報を核酸の塩基配列情報に置き換えて、同時検出する方法を開発しました。これらの結果は英国王立化学会速報誌Chemical Communications誌に掲載されました。また同誌のOutside Front Coverに採用される予定です。本研究は、本学総合研究所アーリーイーグル研究助成、並びに科学研究費補助金 (日本学術振興会) の支援を受けて行われました。

論文の題名

A detection system using sensing motif-tethered oligodeoxynucleotides for multiplex biomolecular analysis
Tatsuya Nishihara, Yuto Motohashi, Reoto Mio, Masato Sugawara, Kazuhito Tanabe
Chem. Commun., 2024, 60, 6059-6062.
DOI: 10.1039/D4CC01470G

著者

西原 達哉(理工学部化学・生命科学科助教・田邉研究室)
本橋 優人(理工学研究科理工学専攻博士後期課程修了・田邉研究室)
三尾 玲緒斗(理工学研究科理工学専攻博士前期課程・田邉研究室)
菅原 正人(理工学部化学・生命科学科・田邉研究室)
田邉 一仁(理工学部化学・生命科学科教授)

論文の概要

生体分子の検出や解析には、蛍光プローブが用いられ、生命機能解明や、疾病診断などに用いられてきました。多くの場合、標的分子と選択的に反応させ、反応前後の蛍光特性変化を利用することで、その検出が実現します。これまでに、様々な標的に対する分子プローブの開発が進んでいます。しかしながら、蛍光プローブ同士の蛍光波長が重なりあうため、複数の標的を同時検出が困難である点が、大きな課題でした。
本研究では、多数の生体分子を同時に検出可能とする方法論の構築に取り組みました。具体的には、DNAに対して、標的分子との反応部位を導入する戦略となります。標的分子との反応後のDNAを、ストレプトアビジン標識磁性ビーズを用いて選択的に回収し、定量することで、標的分子の存在量を評価します。DNAは増幅可能という特性を有しているため、微量でも高感度に検出が可能です。さらに、配列の異なるDNAを同時並列的に定量可能です。そのため、塩基配列と反応部位を紐付けることで、塩基配列の種類、および量から、各標的分子の定量が実現します。本研究では、疾病との関連が示唆されているグルタチオン、及び過酸化水素を標的とし、DNAを用いた同時検出を実証しました。


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