富重研究室
指導教員 | 富重道雄 教授 |
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テーマ | 生物物理学、一分子生物学研究 |
研究内容
生命を構成する生体分子は物質と同じ物理法則にしたがって働いています。しかしその複雑で精緻な働きを見ると既存の物理法則をこえた何かが関与しているようにも感じられます。タンパク質はこのような生命現象を司る素子であり、自然の作り上げたナノメートルサイズの精巧な分子機械です。我々は、タンパク質分子機械が作動する仕組み、特にエネルギー変換を利用して力学的な仕事や秩序を作り上げる仕組み、を物理化学法則に基づいて明らかにすることを目指して研究を進めています。具体的には、キネシンと呼ばれる細胞内での物質輸送に関わる分子モーターに着目し、キネシンが化学エネルギーを仕事に変換して、レールの上を二本足で移動する仕組みを明らかにするために研究を進めています。
それを明らかにするための研究手法として我々の研究室では、光学顕微鏡下でタンパク質一分子を可視化し操作する手法を用いています。具体的には、(1) 蛍光色素一分子の位置を検出することにより、キネシンの運動をナノメートル精度で検出する。(2) 蛍光共鳴エネルギー移動を利用してキネシン内部での数ナノメートルの構造変化をリアルタイムに検出する。また、(3) 50 µsという高い時間分解能での一分子計測法を用いて、キネシン頭部が前方へ移動する詳細なプロセスを観察する。このような精密な計測を用いて、タンパク質ナノマシンの動作機構の解明を目指しています。
研究者情報
教授:富重道雄 | |
学位 | 博士(学術) |
所属学会 | 日本生物物理学会、アメリカ生物物理学会 |
研究分野 | 生物物理学、一分子計測、細胞生物学 |